某運動公園受変電設備改修【実施設計】

① はじめに

近年、大型台風により甚大な大雨に見舞われ、河川からの洪水が発生して設備機器が浸水するケースが少なくない。本設計の運動公園も過去に同様な被害を受けている。ただ、災害時の避難所として位置づけられているため、緊急時の電力供給が損なわれない様に受変電設備が設置されている場所を含めて改修するものである。


② 設計概要

1建物概要

対象場所:某運動公園(陸上競技場、サッカー場、駐車場)
受変電設備:No.1~No.4 受変電+便所棟


2現況

既設の高圧系統を図1に示す。電力会社かまず、No.1受変電設備へと電力が供給され、No.2受変電設備に送られ、そこからNo.3やNo.4、便所棟の受変電設備に配られる形になる。上記に記載した様な被害が発生したのは、No.2受変電設備である。設置場所が周囲よりも低いことや山に囲まれていることから土砂による被害も受けた。

問題となる点としてNo.2受変電設備がその他の受変電設備へと電力を供給していることである。もし、No.2受変電の機能が失われれば公園全体の電力供給が止まり、避難所としての利用が出来なくなる。

(図1.既設高圧系統図)

3 改修

現況の問題点を改善するために、No.2受変電設備から公園全体に電力を供給することを止めて、新たに各受変電に電力供給が出来るように分岐盤を設けると共にハザードマップを確認して、浸水しないと想定される場所に設置とした。その系統図を図2に示す。この分岐盤によって、電力会社から供給を受けるNo.1受変電を通して、各受変電に供給されるため、災害時の電力喪失が少しでも減らせることが可能になる。
今回、工事範囲を少しでも減らせるようにNo.1~No.2受変電設備が設置されている場所の中間地点とした。ただ、設置場所の周囲が植栽で生い茂っていたことや地盤に傾斜が付いていたことから重力式擁壁の設置など一部土木工事が発生した。(図.3)

(図2.改修後高圧系統図)

(図3.分岐盤設置場所図)


また、受変電設備以外でも高圧ケーブルの取替及び撤去新設があるが、冒頭でも記載した様に過去に浸水し、水により影響で高圧ケーブルの絶縁層内にて絶縁劣化が起きて絶縁破壊する水トリー現象が起きたことから、全て高圧ケーブルを水トリー対策としてEEタイプを採用した。


③ 終わり

今回初めてこの様な広い場所での受変電設備改修設計を経験した。これだけ広いと当然1日では工事出来ないので、何回かステップに分けて改修をすることになる。タイミングによっては、施設に電力が供給できないので、仮設発電機を置いて、施設内の照明や給水ポンプ等を生かす計画にした。受変電改修だか、それ以外の設備も考えかつ工事計画までを考慮しないといけないと身に染みた設計となった。